株芝居を見よう!!
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芝居。平絵と語りが織り成すこの画期的ストーリーテリングがかつて、子どもたちをトリコにした時代があった。
拍子木の音が町に響けば、今日の遊びはそこで手仕舞い。我先にと駆け寄って、駄菓子を買い食い芝居に興じる。その派手な身振りと巧みな語りには、時間を忘れて引き込まれたものである。
しかし、テレビをはじめとするメディアの台頭もあり、この古き良き情景は、次第に失われていってしまった。


は流れて21世紀。ここはとある金融街の一角。ノスタルジアとは程遠いこの地に、だが懐かしい声が、どこからともなく聞こえてくるではないか。
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい。カネ儲けの話をせんかね」
見れば、かの平行二輪を駆る翁が一人、颯爽と姿を現した。誘われてぱらぱらと集まってきたのは、かつてのそれとは似ても似つかぬ大きいお友達。しかも老若男女、立場も様々だったのだが、皆一様に、思うところがあった。それは、“株の話をしよう”というものだった。それもそのはず、この翁こそ、今巷で賛否ありの“株芝居屋”だったのだ。


と通りの客入りを視認する翁。するとどこか時を稼ぐように、おもむろに口を開いた。
「相場を張り出し早幾年。酸いも甘いも噛み分けた。そんな老爺の自分語りを、デフォルメしたのが株芝居」
一息入れ、ちらりと見渡した後、さらに続ける。
「しかし株とは深いもので、その神髄、老いてなお、まだまだ究まることがない。だが一方で、こいつをここまで生業とできたのもまた事実。皆々様の気を引く話のひとつくらいは、或いはできるやも知れませぬ」
言い終えると同時か、ひとりの幼女が慌てた様子で駆け込んできた。ペコリと小さくお辞儀をする彼女。それを見るや、「お待たせした」と翁。そそくさと持ち場へ就いた幼女が、取りだした鐘槌をすっとかざせば、それが、寄り付きの刻を告げる合図となった。


♪ カーン カーン ♪
鐘の音とともに広がったのは、相場のそれとは異なり、緩く、ふざけた気配だった。
「株芝居。はじまりはじまり」